「僕」   2010年  秋~冬

息子さんの手術も無事に終わった。
息子さんは少~し家でおとなしくしていたが、2週間も過ぎると仕事に復帰し、またエネルギッシュに活動するようになり、お母さんも一安心したようだ。

「行ってらっしゃーい。」 今夜はお父さんの夜勤の週。
仕事に行くお父さんを見送ると、なんかお母さんの顔はニンマリ。
あー僕は始まるのかっと思った。僕は今夜は遅くまで寝れないなって・・・覚悟を決めた。
お母さんはサッサと片付けを済ませ、お風呂に入って今日の仕事は終わり!!ってスキップしながら、お父さんのオーディオルームに入っていった。
えーー!?お父さん以外触っては駄目なんじゃないの?
実はお父さんのいる時でないと音楽は聞けない。だってお母さんはチンプンカンプンだから。
でもお母さんも一人で音楽に酔いしれたいとお父さんにお願いした。
そしたらお父さんはお母さんも扱えるように簡単な操作方法を教え、お母さん専用のスピーカーを用意してくれた。 優しいね~  (本当は脅されたの?)
お父さんのレベルには届かないがそれでもお母さんは大満足のようで「いいね~。」って言いながら最初はソファーでおとなしく聞いている。
しばらくするとキッチンに消えお酒をもってきて、まるでヒロイン気取りで聞いている。
お母さんがいつも聞くのは大好きなMISIA!
だんだん乗ってきました。今度は一緒になって歌い始める。
これが、また音痴!!でも本人はなりきってノリノリなので僕は何も言えない。
そろそろ僕も限界がきて「もう寝ようよー明日も仕事でしょ。」って声をかけてみるけど無視されてしまう。
そうだよね~、まだ終わりじゃないもんね。この後フィナレーが待っている。
お母さんは家中の扉を開けるとタオルを振り回しながら踊って歌い回る。
そして大満足したら、怪獣のようなイビキをかいて寝てしまう。
僕はやっとホットしてお母さんの寝顔を見ながら、幸せそうだねって思う。
でもちょっとイビキうるさい・・・