「僕」   2009年   秋~冬

地鎮祭が終わり、基礎工事にはいった。
時間がある時はお父さんとお母さんは何度も足を運んだ。
なんだか法面ギリギリにより過ぎているような気もしたが、大丈夫と言うので大丈夫だと思ったらしい。
上棟式が終わると、あれよあれよと言う間に僕が出来上がってきた。
大工さんは夜遅くまで仕事をしている時もありお父さんが仕事帰り道路から上を見ると明かりがついている時もあった。

お父さんは長年の夢だったオーディオルムとシアタールールが出来るのが嬉しくて仕方ないらしく、営業員さんや設計士さんに3回もオーディオ類達の寸法を書いた紙を渡していた。
(前の営業員さんはお父さんの実家に行き実際に寸法を測り写真まで撮っていった。また福島では有名なオーディオ屋さんにも一緒に行ってもらい、どのような仕様が一番良いのか店長さんに話をしてもらっていた。)

それほど楽しみにしていた。
お母さんは「男の人の趣味は解らないわね~」とぼやいていた時があったらしい。
なんせ結婚が決まってからお父さんはお母さんに内緒でマッキントッシュのアンプやら何とかかんとかのパワーアンプやら総額100万円もする買い物をしていた。

あとでお母さんにばれて「誰が払うのよ!」って怒られたらお父さんは「そりゃお母さんが働いて・・・」だって
お母さんは開いた口がふさがらなかったらしいが何回かオーディオの音を聞いているうちにすっかり自分も虜になってしまい、「まぁ いいか」とお父さんの趣味に理解を示すようになり、それから口を出さないようにしたが、オーディオの展示会には必ず同伴するようにしたんだって。
だって危ないからね~。
でもお母さんはお父さんが本当に嬉しそうにオーディオをいじっている顔が大好きなんだって。