「僕」  2013年 11月20日 家屋解体の日

今日から僕の解体作業が始まる。
朝、お母さんが来てくれて業者さんに僕の鍵を渡した。
いよいよか・・・  これが現実なんだね・・・
始めは内装から壊すそうだ。また痛い思いをするのか。
2週間ほど解体作業はかかると言われた。
僕は消えていく・・・・・・
僕は今だに納得できない事がある。
この盛土の場所に土留めもいらないと言われ、地盤改良もせず、良好な土地だと言われ、端っこに建てられて震度5強程度の地震で全壊してしまった。
一番大事な地盤調査報告書をなぜ彼らは間違えたのでしょう。
そしてなぜ地盤調査報告書をお父さん達に渡さなかったのでしょう。
もうここから僕の運命は決まっていたのかも知れない。
僕はお母さんに「お別れだね。」って言った。本当はもっと言いたい事がたくさんあったけれども、言葉にならない。でも僕達は言葉に出さなくてもお互い何を伝えあいたいのかはわかっていた。
お母さんはただ涙をながすだけ、泣き虫だなー。

この前のお休みの日にお父さんとお母さんは最後の僕の姿をビデオに撮ったり、写真を撮ったりしてくれた。
「見納めだね。」ってお父さんがポツリと言った。
たとえ姿が消えてしまっても僕はずーと2人の心の中にいるよ。
だから僕の事も忘れないでね。

玄関先での僕達OLYMPUS DIGITAL CAMERAお母さんがお弁当を作ってくれた。
僕のお家で食べる最後の食事。OLYMPUS DIGITAL CAMERA