僕はピカピカになりました!
あんなに石膏ボードの粉であちこち真っ白だったのも綺麗になりました。
水が無かったので、お母さんはペットボトルに何本もお湯を入れて持ってきて掃除してくれた。
窓ガラスも綺麗になった。
僕が綺麗になった変わりにお母さんの手はボロボロになっちゃった。
「お母さんの執念だね。」って僕が言うと、「へっへっぇー、どうだ!綺麗になったでしょう~。」って一生懸命僕に自慢した。
「何だかまたここに引っ越しできる位になったね。」ってお母さん。
「いやいや、それは無理でしょう。僕はもう家の機能は果たせなくなったんだよ、だから解体されるんでしょう。」って僕。
「それはそうだけどさ・・・そういえば、僕はただ傾いているんじゃないのね。お母さんお掃除していてわかったんだけれども、右にねじれているね。歩くと体が右に曲がっていくのがわかるのよ。」
そう言うと外へ出て北西の角地に立った。なんで北側が11mの高低差があるのに±0の宅地になってたんだろう。なんで西側が26mの高低差があるのに雑木林になってたんだろう。しばらく佇んでいた。
夕日が綺麗だった。
「解体の清め祓いって何?」って僕が聞くと、
「建物を解体する時には、その建物に鎮まって守り神となっていた多くの神々に感謝して、この解体工事の無事をお祈りするおまつりなのよ。その中には僕も含まれているのよ。」って教えてくれた。
そうか、僕はこのお家の守り神の1人だったのか・・・・・・