とっても楽しかったよ!バーベキューパーティー。
願いが通じたのか、少し風は強かったけれども天気も晴れて、あまり寒くもなくできた。
お父さんとお母さんは朝から忙しく注文していた食材を取りに行ったり、みんなを迎える入れる準備に追われていた。
倉庫にしまって置いたバーベキューセットやパラソルも持ってきてやっと活躍できたよ。
でも、たった一日だったけれども・・・
やっぱりこのパラソルはこのお家やお庭にすごく映えて僕はかっこいい~と思った。
みんなが到着すると、お母さんはさっそくお家の中を案内していた。
「ここがリビングで、ほらほらここから100インチのスクリーンが下りてきてね、みんなで映画をみてたの。そしてここがキッチン。見て~食洗機も付いていて広いでしょう~、ここで料理の腕を振るったのよ。」
まるで新築祝いの案内しているみたい。
みんなも「ほぉー、お風呂広いね。4人位ではいれるんじゃない。」なんてその気になって2階のお孫ちゃんの部屋もお母さんは自慢げに案内していた。
でも誰かが「しかし、傾きと壊れ方が酷いね。あまり中に居ると気持ち悪くなるね。」って・・・・・・とたんお母さん達は現実に引き戻されて「外にでようか。」ってお庭に引き返した。
ちょうど火も起きてきて、みんなで乾杯をしてバーベキューパーティーは始まった。
お肉や野菜や海鮮類など色々焼いてみんないっぱい食べて、いっぱい飲んで笑い声にあふれて、とても楽しいひと時だった。
僕は僕が誕生してから、このお家でこのお庭でみんな集まって、バーベキューパーティーをするのが夢だった。その夢が今日叶った。
たった一日だけの最初で最後のバーベキューパーティーだったけれども僕はとても満足した。
ありがとうと何度も思った。
そして段々と日が暮れてあたりが薄暗くなると、今度はウットデッキに隣接している寝室だった所に上がりまたおしゃべりを繰り返した。
ランプの明かりをともし、まるでキャンプみたいだねって。
本格的に暗くなってしまったので、みんなも名残惜しそうだったけれども、それぞれの家路に帰って行った。
みんなを送りだしお父さんとお母さん2人だけになっても中々帰ろうとはしなかった。
「僕、楽しかった?」ってお母さんに聞かれた。
「もちろん楽しかったよ!だってお母さんの2人の息子さん達家族にも逢えたし、おばあちゃんも来てくれたし、お友達も来てくれて、こんなにこの僕のお家に笑い声があふれたのは初めてだよね。」って答えると、お母さんは泣き笑いのような、なんともいえない顔で「うん。」と答えて僕に頬ずりしてくれた。
お父さんは「僕が解体されて更地になっても、またこの場所でバーベキューパーティーしよう!。」って言ってくれた。え~~、でも僕はもう居ないじゃん。
その時僕はラベンダー色のお姉さんが言っていた言葉を思いだした。
「お父さんとお母さんが僕を忘れないかぎり、心の中で僕はいるのよ。」って。
そうだよね、僕が解体されて姿が無くなってしまっても、いつまでもお父さんとお母さんの心の中に僕はいるよね。
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